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ラグジュアリーな日常

忘れんうちに書いとこ書いとこ!

『グリーフケアー見送る人の悲しみを癒すー〜「ひだまりの会」の軌跡〜』

葬儀社である公益社とその関係者が遺族の心のケアについて述べた本である。章構成としては全体で3章あり、1章を坂口氏(関西学院大学人間福祉学部准教授)がグリーフケアの基礎知識について解説、2章は公益社グリーフケア活動である「ひだまりの会」について事例紹介、3章を古内氏(公益社代表取締役社長(2011年当時))が葬儀のあり方についてまとめている。


「ひだまりの会」に携わった方のストーリーも含めて記述してくれているので、想像しやすくとても読みやすい。グリーフケアについて知るきっかけの本としては優れていると思う。


遺族の心のケアと称してしまうと、逝去後のケアのみに焦点が絞られがちであるが、そうではないという。近年、病院での看取りが多くなっており、「ひだまりの会」スタッフである方のご家族も病院で息を引き取った。その経験の中で、病状を専門用語だらけで話されたり、摘出した臓器を唐突に見せられたらなど、死と闘う最中に病院関係者から受けた心の傷もあった。その様な心の傷を増やさないこともグリーフケアの一環だと述べている。


病院との連携の中で、エンゼルケアやエンバーミングなども取り入れられている。エンバーミングは遺体の修復により、生前の元気な姿をもう一度取り戻すことを指している。この過程を経ることで、遺族が「死の受容」につながるという。また、終末期医療の影響で薬剤などが投与された状態になっており、病原菌の繁殖等も懸念されている。エンバーミングでは、遺体を無菌状態へ近づける為、たとえ終末期医療で酷使された身体であったとしても、安心して最後のお別れを告げられるという。

病院との関わりに戻すと、病院での遺体の処置としては、エンゼルケアという死化粧などが行われているという。しかし、医療関係者自身も遺体の専門家ではない為、公益社の方が医療機関でセミナーを開いている。

また、遺族への死亡の説明の仕方としても、「早口で話さない、ゆっくり動く、大きくうなずく、足元をそろえる、両手を体の前でそろえる」(p197)といったことも伝えている。


悲嘆を分かち合い心を癒すことだけかと考えていたが、悲嘆を少なくすることも大事なのだと改めて感じた。

合間合間に挟まれる「ひだまりの会」での葬儀事例は胸打つものがある。生前の様子を想像し、その人にあった葬儀ができる、そのこと自体が最大のグリーフケアであり、その実行に向けての活動は驚くばかりだ。詳細は本書をお読みいただきたいが、「ここまでするのか!」という感想をもつであろう。