頑張って続けます

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2019年1冊目 『創造の方法学』高根正昭

タイトルに記載の「方法学」の通り、本書は研究や調査を行う上での方法論を論じたものである。単にテーマに関する調査を行い知識を得るだけでなく、『何の為に』『どの様に』テーマを論じていくか、研究や調査に対する姿勢を学ぶ事ができる。

 

本書の刊行は1979年となっており、なんと40年程前に発刊された事になる。そんな半世紀前に近い歴史をもつ本書の内容についてだが、現在でも通用する内容となっている事が驚きである。ある特定のテーマについて論じた内容ではなく、思考の基礎訓練となる方法論を論じた本である事を差し引いても、本書が現在も通用する内容を維持している点には驚きを隠しえない。

更にもっと驚いた内容がある。著者である高根氏は、スタンフォード大学での非常に厳しい訓練を通じて方法論の重要性を身に付けていった訳であるが、高根氏が留学していた時期はおそらく今から50年程前、アメリカでは既に方法論の重要性と創造に対する責任が学生たちへ求められていたのである。本書の内容だけ(当然、学力層に対する選別はあるとしても)を基に比較すると、現在の日本の大学で本書のレベルで学習を行っている大学は少ないであろう。

また、本書を執筆する機会となった経緯も、高根氏が日本の大学で教鞭をとることとなり、その際に方法論を学ぶ教科書が無い事に憂い、自身が執筆するに至ったとの事であった。

 

とても丁寧な論理展開と説明が行われており、高校生年齢でも十分に読み解く事は可能であると感じるので、大学生はもちろんですが、高校生へもお勧めしたいと感じる書籍であった。